2012年5月14日月曜日

メビウスの宇宙を越えて。その2

その時歴史は動き、星辰は揃った。

 さあ、ともにTM NETWORKのライブに行こう! そう誓った我々だったが、ライブは夜からである。せっかく東京まで行くのに、昼間になにもしないのでは、さすがにもったいない。

 相談した我々は、お台場にできたばかりのニュースポット「お台場ダイバーシティ」は「ガンダムフロント東京」へと行く約束をした。集合は昼の1時である。新幹線は予定通り12時前に東京へと着いた。俺は勇躍山手線へと乗り、そして!


 ―― 歌 舞 伎 町 で 道 に 迷 っ て い た 。


 まさかなあ。と、ため息とともにつぶやきを漏らした。


「ホテル、歌舞伎町の真裏だとはなあ」


 そう。今日のホテル「ヴィンテージ新宿」は、歌舞伎町のちょうど裏手、大久保との境にあった。今回申し込んだのはJR東海ツア-ズの「WEB限定 東京 1泊 シングル/新宿・渋谷エリア ホテルヴィンテージ新宿 シングル バス・トイレ付 1室 食事なし おとな1名様あたり23,700円×1名様」。NORIMITSUさんと合流する前に、ホテルに荷物だけ預けておこうと降り立ったのだが、片道15分ほどの道を、俺は見事に道に迷っていた。

 おかしい。と、俺は思った。


 ちゃんと地図を印刷し、google MAPで行き方もチェックしたはずなのに、何故?


 は!? まさかここは”魔界都市”迷宮横町!? くそ、歌舞伎町界隈と大久保は「安全地帯」と聞いていたのに! ああ、サイボーグ化した893や妖霊が襲ってくる! 助けて西新宿のせんべい屋っ!

 そんな妄想を垂れ流しつつ、頭の中に流れるのは、あの曲である。

「蝉の声を聞くたびに~♪っとくらあっ」
「オ兄サンオ兄サン、今カラ、ドコ行クカ? まっさーじシテ行カナイカ? 私ガさーびすスルヨー?」
「いや絶対それ普通のマッサージじゃないよね!?」


 いみじくも襲ってきた曲の内容にぴったりな客引きを、ある時は押しのけある時はスカしてホテルへと向かう。荷物を置いた俺がNORIMITSUさんと合流できたのは、約束から30分遅れてのことであった。


「あああっ! NORIMITSUさん、マジすみませんっ!!!」
「あははははー、いいんですよー」

そう言って笑ったNORIMITSUさんは、書かれる文章通りのナイスガイだった。

「急がしてすみませんねー」
「いやいやいや! こちらこそ、時間の見極めが甘くて、本当に申し訳ありませんっ!」
「そんな、いいんですよ。あははははー」

 春風駘蕩。そんな言葉が似合う、まさしく「好人物」を絵に描いたような方なのである。しかも、年齢が近く、さらにTRPGと落語が大好きとあって、ちょっとマニアックな会話ができるのが、楽しくて仕方ない。


「『落語シナリオ』って熱いと思いません!?」
「その場合、やっぱ、依頼持って来んのは、ご近所のご隠居さんか、大家さんですかね? 年食った賢者か、神官あたりで」
「いやいやいや! 逆に、知ったかぶりパターンとか、いいかもですよ! ええと、アレなんでしたっけ? 『千早振る』ってやつ」
「ああ、『竜田川』」ですね」
「そうそう! あのパターンで、狂信者の店子が、大家のSAN値減らしたろおもて『ネクロノミコン』か読ますけど、解釈間違えまくって全然減らない、とか」
「ぶはは! アリですね! 」
「で、オチは、『”水くぐるとわ”の”とわ”ってなんだい?』『ええと、”水”に”とわ”やろ? クトゥルーは永遠の存在ゆーことやないかい』」
「通じてるやないですかー!!」
「あれ?(笑) 逆に『TRPG落語』ってのもできそうですな!」
「いいですね~! ”はてなの聖杯”とか!」
「ぶはははは! あれッスか! マナ・ライとかが茶碗見て首かしげてるのを、アホな冒険者がセージチェック失敗して掘り出しモンと勘違いして大金で買い取って!」
「そうそう! で、その話マナ・ライから聞いたファリスの法王あたりが茶碗にサラサラ聖句書いて、高値で売れて!」
「で、オチは外から聞こえるワッショイワッショイって掛け声に驚いて、マナ・ライが顔出してみたら!」


「「今度は聖壺持ってきた」」


「ぶはははー!!」(*≧∇≦)ノシバンバン!!


 うむ。 落 語 と T R P G わ か ん な い 人 間 に は さ っ ぱ り わ か ら な い 。


 こういう話をしつつ、俺は「この人すげえなあ」と、NORIMITSUさんに痛く感じ入っていた。話し方がもう、「心地良い」のである。

 人の話を遮らない。コロコロよく笑って盛り上げる。そしてなにより、「人の話を否定しない」。

 よく会話をする上で、「反射的に相手の話を否定する」って人がいるんだが、そーゆーのが一切ない。こちらの話をちゃんと最後まで聞いた上で「ですね。僕も」と”その話を発展させるように”言葉をつないでくださるのだ。しかも、どんな話を振っても、キッチリついてきてくれる。

 NORIMITSUさんは先日まで、ダンスのインストラクターをされていたのだが、俺に子供がいたら、この方にぜひ教えてもらいたいと思う。きっと、ダンスの才能を褒めて伸ばすだけでなく、子供から溢れ出るあらゆる”興味”の枝を、曲げたり折ったりすること無く大きく育て、無数の大輪の花を咲かせてくれると思うからだ。


 子 供 い な い っ つ か 、 作 る 相 手 も い な い け ど な 。


 残念無念である。(主に俺の人生が)


 さて。


 お台場ガンダムフロント東京。ぴあでチケットを買って入場したその世界は。


 超楽しかったああああああ!!!!!


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 前庭に立つ実寸大ガンダム! ビルとのコンストラクトで、より巨大に見える! 時間の都合で演出が見れなかったのが残念で仕方ないっ。


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様々なモビルスーツ/モビルアーマーのシルエットの描かれた道を抜け、全天型360度スクリーンで見るガンダムの歴史! ちなみにここの解説池田秀一さんだったが、個人的には永井さんのほうが嬉しかったかなあ。「解説」だから。

 そして、中に入ると!


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ストライクフリーダムガンダムが1/1サイズの胸像に


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1/1コア・ファイター!

 特にこの「1/1コア・ファイター」がよくできてましてなー! 小さな仕掛けがあんのよ! 数分に一回「めぐりあい」がどっからともなく流れてきて、コックピットのマイクからカツ・レツ・キッカの「右! 左!!」ってアムロ誘導する声が流れてきたりするわけですよ! 超燃える!!!

 さらに


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 ガンダムのマニュアルが転がってたり、マチルダさんと撮った写真がコックピットに残されてたりするのだ!――って、アムロ写真忘れちゃダメじゃーん!?ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!

 こーゆー小ネタは他にもあって、


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関係者意外立入禁止のとこを「アカハナ」が守ってたり、


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ア・バオア・クーのジオラマでは、ちゃんとガンダムとジオングが戦ってたりするのだ!

 でも、一番の小ネタはやっぱりここかなあ。


 ト イ レ 。


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男女の印はモビルスーツで、


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中には、ガンダムに関係する名言が色々貼ってある。そして、


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男ならきっと分かる便器の「的」はビームライフルの照準マークなのだっ。


すげえ面白かった! 女子トイレがどんなんか気になるわー。


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 あと、ガンダムの主要キャラと一緒に写真が撮れるスポットもあります。


 でもなによりすごかったのが富野監督の絵コンテと、安彦良和氏のセル原画! 撮影禁止なので写真はないが、これがもー、本っっっ当に! 素晴らしかった!!! 富野監督の絵コンテはすごい書き込みのうえ、見てるだけでOPが浮かび上がってくるような躍動感! さらに、絵自体もめちゃめちゃうまいのよね。

 安彦良和氏の原画もねー! 線が、すごくシャープなの! 下書きも、あたりも付けずに書いてるのに、完璧なバランス! しかも、全然古びてないのな! マンガ家にせよアニメ作家にせよ、あの頃は美しく見えた絵でも、今見ると少し野暮ったいとか、粗が見えるってことあるや無いですか。


 そ ん な こ と 、 全 然 ね え ん で や ん の 。


 人も、メカも、今見ても、恐ろしいくらい上手い絵で、なおかつ新しいのな! しかも映画版とか、ほとんどの原画を、全部一人で書いてるようなのだ。バケモノか。NORIMITSUさんと二人、まさしく「魅入られたように」呆けて立ちすくんでしまったよ。感動したわ……。


 出てからは今度はガンプラゾーンでまた一騒動ですよ!


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「うわー!? 俺、あのズゴック持ってましたー!?」
「俺も俺も!」


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「あの1/60ゲルググうちにありましたよ!」
「なんと!? すげー!!」
「フフフ、中に目ンとこに麦球入ってて、光るんですぜ?」
「ムwwギwww球wwwwwww」


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「ノホー!? ガンプラのパッケージ絵だー!?」
「うおおおおー!? 部屋かざりてえええええ!?」


ワイワイやること、実に2時間超。非常に満足して我々は


「あ、お土産コーナー寄るの忘れてた」


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「なんだこのノートwww」
「ビームクーヘンてwww」
「うおお、カレーうまそー!?」



我々は――


「あ、真。さん! セブンイレブンでタイアップして、限定セブンイレブンカラーのガンダム売ってるそうですよ!」
「マジすか!? そりゃあ見に行かないと!!」(ダダダッ)


我々は――


「そう言えば、実物大ガンダム下の物販で、限定プラモがっ」
「なんですって!?」(ダダダッ)



……それからさらに1時間を、ここで費やしたのであった。続く!!

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