2012年10月23日火曜日

(映画のネタバレあり)ギャバン……。


 大変楽しみにしてたギャバンの映画が公開されたってんで、高校時代からのツレ2人と連れ立ち、喜びいさんで見に行ったんですが。


  えーと。


 結論から言うと、自分的に残念なデキで超がっかり。

 前の『ゴウカイジャーVSギャバン』が100点としたら、30点くらい。

 それも、大葉さんのアクションと存在感で10点、主題歌で10点、エンドロール後のギャバンのアップが格好良くて5点、敵のデザインと造形が良くて5点、みたいな感じ。

 いや、新ギャバンをはじめ、役者さんたちは頑張ってたよ? とにかく、脚本と監督がガッカリすぎる。


  話は新ギャバンになる主人公と、ライバルになる男、そして二人の幼なじみである女の子との三角関係がメイン。ギャバンに色恋話なんかいらんがな。 しかもこの三角関係が尺取ってる割には描写に無駄や矛盾が多く、キャラに好感を抱かせるエピソードもまるでない。

 んで、その薄っぺらい人間ドラマのしわ寄せで戦闘削られたうえ、戦闘シーンも変身前がメイン。変身後もやられることが多く、爽快感がまるでない。一番強かったのが変身前の大葉さんってどうよ?

 また、ギャバンダイナミックをはじめとする必殺技の見せ方が下手なんだ。「ディメンションアタック」なんていう「高いとこから両手を揃えてグーパンチ」みたいな華のない技をわざわざセレクトして、しかもそれをなんの芸もなく横から映すだけって、監督なに考えてんの? ラッシュ見て「うわ! ショボ!?」って思わんかったのかな?

 なによりヒドいのは、脚本や描写からオリジナル版に対する愛情と知識、リスペクトがまったく伝わってこないこと。マクー空間に観客がいたりはまだいいとして(良くないけど)、そこでは敵の力が3倍になるとか、そういう設定が語られはするけど、活かされていない。ゴウカイジャーVSギャバンでもやってた「歌詞の一部をキーワードにする」という仕掛けも『「光の速さで」駆けつけるぜ』、みたいな使われ方で、言葉のチョイスも微妙なら、使い方も粋じゃない。ギャグセンスもどうしようもなく寒い。笑い場として入れたのであろうマクー空間でのピースの場面も、館内から爆笑どころか、失笑も出ないレベルだった。 そして脚本にセンスもリスペクトもないので、さすがのオリジナルギャバンと大葉さんをもってしても『伝説の宇宙刑事』としての風格も、格好良さも、人間としての器の違いも出しきれず「昔はすごかったらしい体育会系の暑苦しいおっさん」の域を出られない。どうしてこうなった。

 そんな捻った話はいらんと思うんだよなあ。 大人の事情もあって三角関係を入れねばならんっていうなら、映画半ばくらいで語られる前提条件として


 主人公とライバル、ヒロインは幼なじみ。3人は仲良しだったが、主人公はヒロインが本当はライバルが好きなことに気付いていて、二人を応援することに決めている。でも、ライバルは逆に、ヒロインが主人公を好きだと勘違いしている。 そんな中、ヒロインの研究が学会で否定される。ライバルはヒロインの研究の正しさを証明すべく、ある特異点へと向かう。だがそこは危険な封鎖地域にあった。それを知って追う主人公。 その特異点で謎の怪物に襲われるライバル。救おうと闘う主人公だが、善戦するも力及ばず、ライバルを救うことができない。ついに自分も大ケガを負い、あわやという時に、ギャバンに救われる。そして、その戦闘力と正義を愛する心を見込まれて、新ギャバンへとスカウトされる。

 そしてそれから時が経ち、映画の話スタート。 

 怪物に襲われるヒロイン。助ける謎のヒーロー。襲われた理由ヒロインの研究がマクー帝国の首領ドン・ホラーの復活に関わるものだったから。 探索を進める新ギャバンは3匹の敵幹部を倒すが、それを指揮する謎の男に倒され、ヒロインをさらわれる。実はそれは、死んだと思っていたライバル。ドン・ホラーに憑依され、その完全復活を目指し暗躍していたのだ。その原因となったのはあの特異点での戦い。ライバルは、主人公がわざとライバルを救わなかったと思い込んでいた。

 悩み落ち込む主人公。だがオリジナルギャバンの助けもあって乗り越え、ついに最終決戦へ。 死力を尽くし、なんとかライバルを倒す主人公。途中でライバルも正気を取り戻し、ドン・ホラーの力を押さえ込んだりもして。

 んで、ラスト。寄り添って楽しげに歩くライバルとヒロイン。ライバルは命は取り留めたものの、乗っ取られていた前後の記憶はない。それを物陰から笑顔で見送る主人公。

「声をかけなくてもいいの?」

というパートナーの子に

「いいんだ」

と答えて歩き出す主人公。

 「格好つけちゃって。ホント、男ってやつは」 

とパートナーの子が呟いたところで、通信がなる。どこかに怪物が出たらしい。指示を出してきたのは宇宙連邦警察の新長官。頼むぞ、という顔がアップになる。大葉さん。頭がなぜかツルッパゲ。

 「了解!」

と叫んでサイバリアンへ飛び乗る主人公。待ってよー!とそれを追うパートナー。

宇宙刑事ギャバンのテーマが流れ始めるなか、ギャバンへと変身する主人公を映しながらエンドロールへ。


――っていうベタな感じで良かったんだと思うんだよなー!

 まあ、この場合も「いかに主人公を立てたままで、オリジナルギャバンと大葉さんを格好よく、強く描くか」と言う最大の難問は残るわけですが。

 それを高次のレベルでやってのけてた『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』という映画の素晴らしさが思い知らされますなあ。


 とりあえず、今回のガッカリ感を払拭すべく、帰りに『009』と『ホビット』の前売り券を買ってきてみました。 とりあえず『009』は来週見に行きます。ギャバンの映画についてはもう振り向きませんよ! 若くないけどね! 悔やみもしませんよ! 愛無いけどね!


 で も 東 映 は 振 り 向 い て 悔 や む べ き だ と 思 い ま す 。


 再映画化を! ゴーカイジャーVSギャバンのスタッフで再映画化を要求するー!


追記。 子供時代に皆で空を見上げる場面があるんだけど、そこで「星空のメッセージ」流せばいいのに! バッチリ合うのに!!って思った。

 あと、つらつら書いてて思ったが、この話、もともとウルトラマン用をリライトしたのかもしれんね。宇宙に行って、そこで死にかけて、謎の声でヒーローにって、まんまウルトラマンのテンプレやん。なんで宇宙で漂ってんのを、ギャバンが助けんだよ。意味わかんねー。