メビウスの宇宙を越えて。その１

あー、もう、最近ライブ運が無いわー。ミスチルもしょこたんもいけなかったし、ラスマスフェイバーも水曜だし行けないの確定だし！

　しかし、行けないことを嘆いても仕方ない。昨日より明日を見すえて生きていこうじゃないか！　過去よりも未来！　この愛を未来へｂｙママは小学四年生なのである！！

　っつーわけで、行けたライブの思い出を書くのである。うむ。それも過去だ。


　４月２５日。世に「DNAの日」とか、アテネがスパルタに屈してペロポネソス戦争が終わったりなんかしたことで知られるその日、俺は東京にいた。TM NETWORKの復活ライブに行くためである。

　さらっと書いたが、TM NETWORKのライブ！


　嗚呼、なんと甘美な言葉であろうか！！


　高校時代にはまってより幾星霜。今だに愛してやまないTMNETWORKであるが、ライブには行ったことがなかった。中高大とオタク生活どっぷりの中で暮らしてきたため、「ライブ」などという華やかな世界に足を踏み入れることなど、想像も出来なかったのである。つか、「ライブ」はライブハウスで行われるもんで、そこはヤンキーの溜まり場。北斗の拳のモヒカンみたいな奴らが、毎晩酒のんで喧嘩してるとマジで思ってたかんねー。んで、その誤解も晴れ、ライブに行ける知識と経済力を手に入れた頃には、TM NETWORKは見事に解散していたしね……。

　だが、この度のTM NETWORKの再結成で、その２０年越しくらいの夢をかなえることが可能となった。長生きはするものである！　場所は東京武道館だが、往復の電車賃＋ホテル代を加えても、それくらいの蓄えはある。ましてやこの日は、おれの誕生日なのだ。


　そりゃあ行くだろ！　男なら！！


　チケット争奪戦には敗れたが、俺はあきらめなかった。１０数年ぶりにヤフオクにまで手を出したくらいである。捨てる神あれば拾う神ありとよく言ったもので、神はいた。行けなくなった方が出しておられた、ほぼ定価のチケットをゲットすることができた。

　しかし、一つ問題があった。一緒に行ってくれる人がいないのである。自慢ではないが、俺は友だちが少ない。ましてや「場所は東京」「ド平日」「TM NETWORKのファンである」「ライブに誘える程度に親しい」などという条件をクリヤーできる人材となると……？

　無理だ。そんな裏ドラまで乗った、役満クラスの人材だなんて。

　あきらめかけたその時である。俺の脳裏を一つの名前がよぎった。


　NORIMITSUさん。


　爆雷の如き、天啓であった。

　NORIMITSUさんはGREEの方でお知り合いになった、いわゆるグリ友である。東京在住のダンサーさんで、趣味のTRPGを介してお知り合いになった。誠実にして朴訥たる人柄で皆様に愛され、特に彼女さんとはラブラブ。しかも今春一念発起してダンサー業を引退され、今は落語家になる夢を叶えるべく奔走されているという超弩級のナイスガイ（世界ランキング３位）なのである。そして、付け加えるべくは、NORIMITSUさんはTM NETWORKの大ファンでもあるのだっ。

　俺は、震える指で「TM NETWORKのライブに行きませんか？」とアポを取った。NORIMITSUさんは人気者なので、ご多忙なのである。ほどなく、返事が届いた。


「うおお！？
めちゃくちゃ嬉しゅうございますぅ！」


　NORIMITSUさんはフランクな方なのである。


「25日、大丈夫です！行けます！行きます！」


　歴史が、動いた瞬間であった。


続く。