2011年10月12日水曜日

ネタバレ感想。仮面ライダーフォーゼと「探偵はBARにいる」。

 仮面ライダーフォーゼ面白いですなー。2週に一度、友人Oん家でケーキつつきながら見るのがなによりの楽しみですよ!(今、家に録画環境が無いので録れないのだ)




 テンポも良けりゃギャグも面白い。また、小さい伏線の貼り方がべらぼうに巧い。例えば今回見た第5話「友・情・表・裏」だと、大文字が主人公弦太朗を「トラッシュの中のトラッシュ」と呼んだのに対し、美羽が「それは”男の中の男”って意味かしら?」と言葉を返すシーンがあった。この「”男の中の男”って意味か」というセリフは、第一話で弦太朗が大文字に同じ言葉を投げかけられ、勘違いして返した言葉と同じだ。第一話の時はそのセリフを大文字の隣で聞き、バカにして笑っていた美羽が、今度は大文字に対し、同じ言葉を投げ返す。これにより、美羽の立場が逆転し、今は大文字の側ではなく、弦太朗の側にいることを表したのだ。

 また、美羽のいう「仮面ライダー部部長」という「自称」が、最初は反発されていたのに、彼女が当たり前のように指示を出し続けることにより、話が進むに従って受け入れられていくことで、彼女が本物の「クイーン」であることを演出したり、扱いづらくコントロールしづらい新スイッチ「エレキスイッチ」に、今回のメインキャラJK(ジェイク)を象徴させ、「エレキスイッチを受け入れ使いこなす」=「欠点の多い人間であるJKの人間性も含めて認め、友だちになる」ことのメタファーとしたり。あと、初めてJKに対して弦太朗が「友達だ!」と言い、友情のシルシをかわそうとした時、JKが途中でやめて不完全に終わったのに対し、第6話「電・撃・一・途」で本当の友情を結んだ後では、ちゃんと最後まで友情のシルシをかわしてみせたり。そういう小さな「仕掛け」が、それこそ無数に仕込まれている。

 本当に、中島かずきはいい脚本を書くなあ! 話はベッタベタの「王道」で、キャラもステレオタイプなものを使っているのに、それぞれになんとも深みがあって、「ドラマ」があるのは、そういうギミックやテクニックを駆使しているからなんだろうな。まさに「真正面から王道をぶつけ、そしてその上を行く」中島かずきの面目躍如。これから先が楽しみで仕方ねーわ。

 さー、次はどんなケーキ持ってくかな!(まだまだ友人Oん家で見る気満々)



 そうそう、1週間ほど前に映画『探偵はBarにいる』を見に行きましたよ。

 CMバンバンやってたのでご存知とは思いますが、『探偵はBARにいる』は大泉洋演じる探偵の物語でございます。


「札幌・ススキノ。この街の裏も表も知り尽くした探偵(大泉洋)は、いつものように行きつけのBARで相棒兼運転手の高田(松田龍平)と酒を飲み、オセロに興じていた。そこへ“コンドウキョウコ”と名乗る女から電話が……。

職業柄、危険の匂いには敏感なはずが、簡単な依頼だと思い引き受け、翌日実行。だがその直後に拉致され、雪に埋められ、半殺しの目に遭ってしまう。怒りが収まらぬ探偵の元に、再び“コンドウキョウコ”から電話が入る。その依頼を渋々こなし、自力での報復に動き出した探偵と高田は、知らず知らずのうちに事態の核心に触れていく。その過程で浮かび上がる沙織(小雪)という謎の美女と大物実業家・霧島(西田敏行)の存在。そして、探偵は4つの殺人事件にぶつかる……。

果たして“コンドウキョウコ”は何を目論んでいるのか。事件と事件のつながりは何なのか……。」
goo映画の同項より引用)



 面白かったんですが、これが意外にハード&バイオレンスな話でビックリしました。大泉洋だし、もっと軽い話かと思ってた。

 いや、大泉洋演じる探偵はお気楽で軽い感じなんだが、敵と、その所業がねえ……。途中、とあるダメ男が拷問されたり、大泉洋が痛めつけられたりと、この映画、暴力シーンがだいぶ多いんだが、それがもう、見ててすげえ痛そうなのよ。さらに、ダメ男の奥さんである罪もないおばさんが巻き添えで、なんの救いもない感じで殺されたりと、容赦がない。

 この作品シリーズ化が決まってるそうで、すでに続編の撮影が始まってるらしいですが、最後の敵が右翼の大物だとか、北方領土問題を悪用したヤクザの下部機関みたいな塾があるとか「これ、地上波放映できんのか?」とちょっぴり心配になってしまうギミック満載。さらにラストは結局、小雪が銃で敵を撃ち殺しまくって欝エンドだったりすることもあって、なんか心配になってしまいます。

 第一話みたいなもんなんだし、もう少し暴力を痛くない感じにして、さらにハッピーエンドにして、小雪そのままヒロイン化にしたほうが、商売上はやりやすい気がします。まあ、そんなことしたらこの作品の魅力がスポイルされて、駄作になってしまったことでしょうが。

 話は「老夫婦を部屋で拷問して殺しても捕まらないような奴らが、なんで霧島殺すときだけ、あんな迂遠な方法取ったの?」とか「なんで録音テープ持ってたごときで、あんな武闘派ヤクザがチンケなダメおやじの脅迫に乗って、お金払い続けてたの?」とか、色々疑問の湧いてくる話でしたが、それでもまあ面白かったです。それになにより、役者陣がね!


 探偵役の大泉洋。間が抜けているようで、鋭く強い。特に逃げてるシーンは圧巻。本当におもいっきり逃げてる感じが満載で、見ながらハラハラしまくれました。

 ヒロイン役の小雪。正直、小雪を「美人」と思ったことは一度もないので「絶世の美女」として扱われる劇中は、なんか見てて違和感感じてました。ところがギッチョン。最後の銃撃シーンがねえ。憎むべきかたきに対し、鉛玉をぶち込むそのシーンでの笑顔が、ただ素晴らしかったのですわ。歓喜というほど過剰ではない。微笑というほどかすかではない。ただ「満ち足りた」としか言えない、幸福そのものの表情を浮かべて撃ち殺す姿には鳥肌が立ちました。なんて素晴らしい女優なんだ。敬服しました

 あと、行っておきたいのは、狂気に満ちたヤクザの殺し屋を演じた高嶋政伸な! 正直、終演後さわさんに教えてもらうまで、高嶋政伸だと気づきませんでした。言われてみると確かに高嶋政伸の顔だったんだけど、それが目の前の壊れたヤクザとリンクしなかったんだよなあ。まさに怪演。あの作品の魅力の1/3くらいは、あの殺し屋の存在感だったと思うぜ。

 松田龍平の「ズレてる二枚目」っぷりも見事だった。女性ファンがまた増えやがるなちくしょーと思いつつ見てましたよ。


 アメリカン・ハードボイルドのようにタフでマッチョではないけれど、薄汚れた町で、それでも誇りと優しさを捨てず、口先一丁と度胸、それから少しの腕っ節を駆使して誰かを救わんとする「街角の騎士」。

 「携帯電話」ではなく「黒電話」の時代――80年代を思い出させる、ちょっとレトロな探偵譚でした。面白かった! 続編が、楽しみだぜ。できたら、次はもうちょっと暴力シーンが、痛くなさげだったら、ありがたいんだけれども。

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